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2026-09-04

AIエージェントの作り方を経営者目線で整理 ── 内製・外注・伴走の判断軸と、3か月で1業務を動かす手順

「AIエージェントの作り方」で検索すると、開発環境の構築やプログラムの書き方が出てきます。経営者が知りたいのは、そこではないと思います。

知りたいのは、誰が作るのか、どれくらいかかるのか、社内に何が残るのかです。

この3つで、作り方は3つに分かれます。内製、外注、伴走。それぞれを実際の案件の期間と結果で比べ、3か月で1業務を動かす手順を書きます。

「作り方」は3つに分かれる

内製外注伴走
誰が作る社内の担当者開発会社外部の専門家と社内の担当者
期間の目安最初の1業務に6か月以上3〜6か月1業務あたり3か月
費用感AIの利用料と人件費数百万円〜月額数万〜数十万円
社内に残るもの担当者の技能完成した仕組み手順書と、動かせる担当者
止まりやすい場面通常業務との両立仕様変更のたびに追加費用社内の時間が出せないとき

どれが正しいという話ではありません。会社の状況で変わります。

3つの問いで自社の作り方を決める

問い1:社内に、週2〜3時間を出せる担当者がいますか いなければ外注。いれば内製か伴走。

問い2:最初の1業務が動くまで、半年待てますか 待てるなら内製。3か月で動かしたいなら伴走。

問い3:支援が終わった後、自社で回したいですか 回したいなら内製か伴走。任せ続けてよいなら外注。

3つ答えると、たいてい1つに絞られます。

内製 ── できる会社と、止まる会社

向く会社

社内に、AIを触ることに前向きで、通常業務の合間に週数時間を出せる担当者がいる会社です。人数は関係ありません。

不動産会社の案件では、約10日の習熟期間の後、担当の方が物件入稿から契約書作成までを自分で動かせるようになっていました。私たちが手を動かし続けたのではなく、触らない時間を作ったことで自走に至っています。内製の力は、支援の有無より、社内の1人に宿ります

止まる場面

最初の1業務が動くまでに、独学だと半年はかかります。その間、担当者は通常業務と並行です。たいてい、忙しい月に途切れます。

もう一つは、作った人しか動かせない状態になることです。属人化を解くために始めたのに、新しい属人化ができます。

内製で始めるなら

Proプラン(月$20)で、月に件数の多いPDFの読み取りを1つ試してください。教えたことをファイルに記録する習慣だけは、初日から始めます。記録がたまれば、それが手順書の原型になります。

外注 ── 早いが、完成した日がピーク

向く会社

大きな業務を一気に変えたい会社、社内に時間を出せない会社です。数百万円の投資が回収できる規模の業務があるなら、選択肢になります。

止まる場面

完成した仕組みは立派でも、社内に動かせる人がいません。業務が少し変わるたびに開発会社に連絡することになり、費用と依存が積み上がります。担当者の退職で止まった例も聞きます。

外注するなら

仕様書に「手順書を納品すること」「社内の担当者が動かせる状態にすること」を入れてください。それが無い見積は、完成した日がピークになります。

伴走 ── 社内の担当者と一緒に作る

向く会社

社内に時間を出せる担当者がいて、支援が終わった後も自社で回したい会社です。逆に「完成品を納品してほしい」が本音の会社には向きません。その場合は外注のほうが結果が出ます。

実際の案件の期間

案件期間到達点
不動産会社(約10名)初回商談から4か月。キックオフから成果確認まで約1か月社員が入稿・検索・契約書作成を自走
住宅設備メーカー(約100名)数か月受発注の確認表作成が担当者の一言で回る。月160時間が約15時間
冷間鍛造メーカー(約350名)8か月・3フェーズ総務・経営企画の3業務から着手。出勤簿の読み取りは846セル全件一致

長いのは技術的な構築ではなく、何をやるかを決めるまでと、例外ルールを言葉にする工程です。不動産の案件では、初回商談からキックオフまでに打合せが6回ありました。その後の構築と習熟は約1か月です。

止まる場面

社内の時間が出せないとき、経営者が現場に丸投げしたとき、相手の締め処理が終わらないと検証が進まないとき。技術の問題で止まった案件は、今のところありません。

3か月で1業務を動かす手順

どの作り方でも、手順は同じです。

1か月目:棚卸しと1テーマの決定

業務名、月間件数、1件あたりの時間、月間時間、定型度を表にします。月100時間を超える業務があれば、そこが最初のテーマです。

経営者が決めてください。 現場に「何かAIで」と投げた案件は、たいてい3か月後も何も変わっていません。

2か月目:実物のデータで試作と答え合わせ

サンプルではなく、実際の注文書、実際の出勤簿を使います。人がやった結果と突き合わせます。

ここで合わない箇所が出ます。それが「書くべき判断基準」です。冷間鍛造の案件では、647品番のうち1行だけ単価の扱いが違う例外が見つかりました。担当の部長が毎月そこだけ手入力していた理由が、ここで初めて言葉になりました。

3か月目:例外ルールの言語化と手順書

合わなかった理由を担当者に聞いて、言葉にします。ここが山場で、いちばん時間がかかります。

言葉になったら、手順書にまとめ、担当者に移管します。作った人しか動かせない状態にしないためです。

つまずいた場面と、効いたこと

実際の案件で止まりかけた場面です。

FAXの画質が悪く、読み取り精度が8割で止まった。 効いたのは技術の工夫ではなく、件数の多い取引先10社に注文書の様式統一をお願いしたことでした。

ポータルサイトのポップアップ画面が操作できなかった。 担当の方が、タブで開かせれば操作できることを見つけました。現場の試行錯誤から出た抜け道です。

教えたことが翌日には消えていた。 同じ利用者でも、教えた内容は自動で引き継がれません。ファイルに記録して、次の作業の前に読ませる運用にしました。

既存のExcelを作り替えようとして止まりかけた。 外部リンクが80本以上あるファイルで、作り替えると連鎖的に壊れます。AIの担当範囲を「Excelに貼る値を作るところまで」に限定して解決しました。

4つとも、AIの性能の話ではありません。段取りと設計の話です。

失敗を避ける3つの論点

現場への丸投げ

最初のテーマは経営者が決めます。現場の担当者には通常業務があり、優先順位が上がりません。

完璧主義

初版は薄くて構いません。使いながら書き足すほうが、結果として厚くなります。最初の1業務は、精度9割で動かし始めて、残り1割の理由を追うほうが早く進みます。

手順書の省略

動いた時点で満足すると、作った人が異動した瞬間に止まります。手順書と、動かせる担当者を1人以上。ここまでが「完成」です。

よくある質問

Q. 内製と伴走、どちらが安いですか

表面上は内製です。ただ、最初の1業務に半年かかり、その間の担当者の時間を金額にすると、差は縮まります。3か月で動いて手順書が残るなら、伴走のほうが結果として安い場合があります。

Q. ノーコードの自動化ツールで十分ではないですか

手順が完全に固定された業務なら十分です。様式が取引先ごとに違う、手書きの追記がある、といった揺れがある業務では、手順を人が組む方式は止まりやすいです。やりたいことを伝えれば手順を自分で組むエージェント型のほうが、揺れに強いです。

Q. 社内に詳しい人がいません

詳しい人は要りません。要るのは、自分の業務の手順を説明できる人です。パソコンが得意な人より、そちらのほうが向いています。

Q. どのくらいの規模の会社から効果が出ますか

今回挙げた案件は約10名から約350名です。人数より、同じ形の作業が月にどれだけあるかで決まります。

Q. 開発会社に外注すると失敗しやすいと聞きました

外注そのものが悪いのではなく、手順書と担当者の育成が仕様に入っていないと、完成した日がピークになります。仕様書にその2つを入れてください。

まとめ:今月の1アクション

今月の1アクション:業務の棚卸し表を1枚埋めて、月100時間を超える業務に印を付ける

印が付いた業務が、最初のテーマです。付かなければ、まだAIより先にやることがあるかもしれません。

自社に合う作り方を一緒に整理したい場合は、無料のAI活用診断(90分)で現状を伺い、着手の順番と、内製・外注・伴走のどれが合うかをお伝えします。

依頼先の選び方はAI導入支援会社の選び方に、実際に何が減ったかはAI業務効率化の事例集にまとめています。

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